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食事補助は正社員だけに出せる?対象者を決める税務と待遇差のルール

2026-10-14

食事補助は正社員だけに出せる?対象者を決める税務と待遇差のルール

食事補助の対象者をどこまでにするか。国税庁の非課税要件は対象者の範囲に触れていません。パート・有期雇用労働者にかかる法第8条・第12条とガイドラインの記述を整理します。

食事補助を入れると決めたあと、最初に手が止まるのが「誰に出すか」です。

対象者が決まらないと、月あたりの予算も、必要な枚数も、サービスの見積もりも出ません。

ところが、金額の要件を示している国税庁のタックスアンサー No.2594 は、対象者の範囲について条件を置いていません。

この記事では、対象者の線引きに関わる資料を、順に並べます。

No.2594 の2つの要件に、対象者の範囲は出てこない

国税庁のタックスアンサー No.2594 は、役員や使用人に支給する食事について、次の2つの要件をどちらも満たしていれば給与として課税されない、としています。

  • 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
  • (食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)が1か月当たり7,500円(消費税および地方消費税の額を除く)以下であること

このページの「概要」が、食事の支給について要件として挙げているのは、この2つです。

「全従業員を対象にすること」や「一部の社員に限らないこと」といった、対象者の範囲についての条件は、このページには書かれていません。

出典:国税庁タックスアンサー No.2594 食事を支給したとき

具体例も、人数ではなく金額で書かれている

同じページの具体例は、1か月当たりの食事の価額が13,000円で、役員や使用人の負担している金額が6,000円という場合です。

このときは半分以上を負担しているという要件を満たさないため、差額の7,000円が給与として課税される、と書かれています。

課税されるのは食事の価額そのものではなく、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額です。

要件も具体例も、食事の価額と本人の負担額という金額で書かれており、対象者の人数は出てきません。

なお、要件の文言は「役員や使用人」で、役員も含めて書かれています。

役員を対象にする場合に出てくる別の論点は、社長・役員にも食事補助は出せるかで扱っています。

デスクでグラフの印刷された資料を手に取り、ノートパソコンの前で内容を確かめている担当者

もうひとつの物差しは、パート・有期雇用労働者との待遇差

対象者の線引きに関わるのは、税の資料だけではありません。

厚生労働省のパンフレット「パートタイム・有期雇用労働法の概要」によれば、法第8条は、雇用するパートタイム・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、その待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、不合理と認められる相違を設けてはならないとしています。

待遇の違いが不合理と認められるかどうかの判断は、個々の待遇ごとに行われ、その待遇の例として食事手当と福利厚生施設が挙げられています。

比べる相手も、同じ事業所の中に限られていません。

同じパンフレットは、同一の事業所に雇用される通常の労働者や職務の内容が同一の通常の労働者との間だけでなく、雇用するすべての通常の労働者との間で、不合理と認められる相違を設けることが禁止されている、と書いています。

そして、この法律の対象になるかどうかは、社内の呼び名では決まりません。

「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」といった名称にかかわらず、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者に比べて短い労働者や、期間の定めのある労働契約を締結している労働者であれば、法の対象となります。

出典:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法の概要」

ガイドラインは、食事手当そのものに具体例を置いている

同一労働同一賃金ガイドラインは、どのような待遇差が不合理で、どのような待遇差が不合理でないのかについて、原則となる考え方と具体例を示した指針です。

厚生労働省のパンフレットは、改正ガイドラインが令和8年10月から適用されると書いています。

厚生労働省が公表している新旧対照表を見ると、食事手当の項目は改正前の(8)から改正後の(11)へ番号が移り、改正後の欄は「(略)」とされています。

改正前の欄には、短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の食事手当を支給しなければならない、と書かれています。

あわせて、2つの例が置かれています。

  • 問題とならない例 ── 労働時間の途中に昼食のための休憩時間がある通常の労働者であるXに支給している食事手当を、その労働時間の途中に昼食のための休憩時間がない(例えば、午後2時から午後5時までの勤務)短時間労働者であるYには支給していない
  • 問題となる例 ── 通常の労働者であるXには、有期雇用労働者であるYに比べ、食事手当を高く支給している

この項目の表題は「労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者に対する食費の負担補助として支給される食事手当」です。

なお、ここで扱う食事手当の待遇差の問題と、税務上の非課税要件は別の論点です。現金で食事代を補助する場合は、深夜勤務者への一定の補助などの例外を除き、原則として補助額の全額が給与として課税されます。

社員食堂には、法律の側にも規定がある

ここからは、食事の支援を社員食堂で行っている場合です。

社員食堂の窓際テーブルで、木製トレーに載ったご飯もの・汁椀・小鉢の食事を箸で取る女性社員。奥のテーブルでも複数の社員が食事している

新旧対照表の改正後の欄は、通常の労働者と同一の事業所で働く短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の給食施設、休憩室及び更衣室の利用を認めなければならない、としています。

また、福利厚生施設の利用料金・割引率等の利用条件についても短時間・有期雇用労働法第8条の適用を受ける、と書かれています。

法律の側では、厚生労働省のパンフレットによれば、第12条が、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)について、その雇用するパートタイム・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければならないと定めています。

この規定は、定員の関係で給食施設を事業所の労働者全員が利用できないような場合に、増築などをして結果として全員が利用できるようにすることまで求めるものではありません。

求めているのは、通常の労働者と同じ利用規定を適用したり、利用時間に幅を設けたりすることなどにより、すべてのパートタイム・有期雇用労働者が、通常の労働者と同様に利用する権利が与えられることです。

同じパンフレットは、この3施設以外の福利厚生施設についても、その利用に関する便宜の供与の措置を講ずるよう配慮が必要だとし、令和8年10月1日から適用されると書いています。

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン 新旧対照表(解説付き)」

線を引いたら、説明を求められる場面がある

線の引き方と同じくらい、あとで効いてくるのが説明の場面です。

厚生労働省のパンフレットによれば、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたとき(労働契約の更新時を含む)に説明が義務付けられている事項には、福利厚生施設(第12条)が含まれ、説明内容の例として「どの福利厚生施設が利用できるか」が挙げられています。

さらに、パートタイム・有期雇用労働者から求められたときは、そのパートタイム・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由と、待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明することが義務付けられています(法第14条第2項)。

このとき比較する相手は、求めがあったパートタイム・有期雇用労働者と職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲などが最も近いと事業主が判断する通常の労働者です。

対象者を決める作業は、線を引く作業であると同時に、引いた線を説明できるようにしておく作業でもあります。

金額を決める前に、社内で確かめておきたいこと

  • 誰を対象にするか。雇用形態で分けるなら、その違いが何に基づくものかを言葉にできるか
  • 本人の負担をいくらにし、どうやって集めるか
  • 社員食堂で行うのか、それ以外の方法で行うのか
  • 拠点や働き方の違いで、制度はあるのに使えない人が出ないか

最後の項目は、対象を広げるほど効いてきます。

まとめ

No.2594 が挙げている2つの要件には、対象者の範囲についての条件はありません。

一方、パートタイム・有期雇用労働者については、法第8条が待遇ごとに不合理な相違を禁じ、第12条が、通常の労働者に利用の機会を与える給食施設、休憩室、更衣室について、パートタイム・有期雇用労働者にも利用の機会を与えることを事業主に義務付けています。

つまり、正社員だけを対象とする食事補助制度が一律に禁止されるわけではありませんが、パートタイム・有期雇用労働者を対象外とする場合は、その待遇差が不合理でないかを個別に検討する必要があります。

金額の話に進む前に、この両方を分けて見ておくほうが、あとで戻る回数は少なくなります。

どこでも社食について

どこでも社食は、株式会社シンシアージュが提供する法人向けの食事補助サービスです。

社内に社員食堂を持たない企業でも、従業員が食事補助を利用できます。

特定の提携飲食店との個別契約を前提としない方式をとっています。

なお、利用できない店舗・業態が実在し、すべての店舗で使えるわけではありません。

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