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2026年10月、同一労働同一賃金ガイドライン改正|福利厚生の待遇差を点検する

2026-08-13

2026年10月、同一労働同一賃金ガイドライン改正|福利厚生の待遇差を点検する

2026年10月1日施行の同一労働同一賃金ガイドライン改正を整理。社員食堂の利用料金・割引率も法第8条の対象と明記され、食事手当の扱いも厚生労働省の資料で確認します。

2026年10月から、パートタイム・有期雇用労働者の待遇に関するルールが変わります。

動くのは3つで、雇い入れ時に明示する事項、同一労働同一賃金ガイドライン、そして企業に求められる雇用管理上の措置です。

このうちガイドラインの見直しでは、賞与、退職手当、各種手当、福利厚生についての記載が見直されました。社員食堂の利用条件についても、一段落が書き加えられています。

何が動くのかを押さえたうえで、福利厚生まわりで点検が必要になる箇所を、厚生労働省の資料に沿って整理します。

2026年10月に動くのは、3つ

厚生労働省は、「同一労働同一賃金」に関する施行規則と告示の改正について、令和8年(2026年)10月1日施行・適用としています。

改正省令・告示が公布されたのは2026年4月28日です。

主な改正事項として挙げられているのは、次の3つです。

  • 雇い入れ時の労働条件明示事項の追加(省令)
  • 同一労働同一賃金ガイドラインの改正(告示)
  • 雇用管理の改善等に関する措置内容の改正(告示)

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」

雇い入れ時に明示する事項が、1つ増える

パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたときは、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」の4つの事項を書面の交付等により明示することが義務付けられています。

今回の改正により、新たに「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨を明示することが必要となります。

この明示が必要になる場面には、労働契約の更新時も含まれます。

厚生労働省は、この改正に対応したモデル労働条件通知書を公開しています。まず手を入れるのは、この書面になります。

出典:厚生労働省Webマガジン「2026年10月からパートタイム・有期雇用のルールが変わります―3つの改正ポイント」

ガイドラインが示しているのは、不合理かどうかの具体例

同一労働同一賃金ガイドラインは、どのような待遇差が不合理と認められるのか等を具体例とともに示しています。

今回の改正では、裁判例などを踏まえ、賞与、退職手当、各種手当、福利厚生についての記載が見直され、その考え方がより明確化されました。

新旧対照表を見ると、項目そのものが新しく設けられたものがあります。退職手当、無事故手当、家族手当、転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給される住宅手当、夏季冬季休暇、一定の期間勤続した労働者に付与する褒賞は、改正前の欄が「(新設)」となっています。

たとえば家族手当については、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の家族手当を支給しなければならないとされました。

追記の理由も、新旧対照表に書かれています。家族手当は日本郵便(大阪)事件最高裁判決、夏季冬季休暇は日本郵便(佐賀)事件最高裁判決を踏まえて追記されたものとされています。

社員食堂の利用料金・割引率も、法第8条の適用を受ける

改正後のガイドラインは、福利厚生施設について、通常の労働者と同一の事業所で働く短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の給食施設、休憩室及び更衣室の利用を認めなければならないとしています。

ここに、改正で一段落が加わりました。

福利厚生施設の利用料金・割引率等の利用条件についても、短時間・有期雇用労働法第8条の適用を受けるものとされています。

そのうえで、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないとされています。

新旧対照表の改正前の欄には、この部分について「福利厚生施設の利用条件についても、職務の内容等を考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないことを明確化」と書かれています。

社員食堂を誰でも使える状態にしてあるとしても、雇用形態によって利用料金や割引率が違うなら、その差が何を考慮したものなのかを整理しておきたいところです。

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン 新旧対照表(解説付き)」

社員食堂で丸テーブルを囲み、丼型の容器に入った食事をとりながら会話する社員たちと、奥で食事をする多数の社員

食事手当は、前から「同一に支給」とされている

ガイドラインは、労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者に対する食費の負担補助として支給される食事手当について、短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の食事手当を支給しなければならないとしています。

この記載自体は、今回の改正で新しく設けられたものではありません。新旧対照表では改正前の欄に同じ内容が載っており、項目番号が(8)から(11)へ動いています。

判断の例も、あわせて示されています。

  • 問題とならない例として、昼食のための休憩時間がある通常の労働者に支給している食事手当を、その労働時間の途中に昼食のための休憩時間がない短時間労働者には支給していない場合が挙げられています。
  • 問題となる例として、通常の労働者に、有期雇用労働者に比べ、食事手当を高く支給している場合が挙げられています。

勤務時間帯によって支給の有無が分かれる例は「問題とならない例」に置かれ、同じ手当の額に差をつける例は「問題となる例」に置かれています。点検のときは、手当があるかないかだけでなく、何のために支給しているのかを合わせて見ておきたいところです。

待遇差を説明するときの方法も変わる

パートタイム・有期雇用労働者に対し、正社員との待遇の相違等について説明する際には、「資料を活用し、口頭により説明する方法」または「説明すべき事項を全て記載した分かりやすい内容の資料を交付する等の方法」のいずれかにより説明することが必要になります。

また、賃金を決定する際には、職務の内容や成果、意欲、能力、経験をはじめとする要素を公正に評価し、昇給に反映するなど、公正な評価に基づいて決定することが求められます。

さらに、正社員等への転換制度の内容や転換実績などをパートタイム・有期雇用労働者に明示するよう努めることや、それらをウェブサイトで定期的に公表することが望ましいとされています。

会議室のテーブルを挟み、資料とノートパソコンを前に一方が手を広げて説明し、もう一方が背を向けて座って聞いている二人

パートでも有期雇用でもない社員についての留意事項

改正後のガイドラインには、「所定労働時間が通常の労働者と同一であり、かつ、事業主と期間の定めのない労働契約を締結している労働者等」という項目が新しく置かれ、新旧対照表の改正前の欄は「(新設)」となっています。

この労働者は、短時間・有期雇用労働法第2条第3項に規定する短時間・有期雇用労働者に該当しないとされています。

そのうえで、労働契約法第3条第2項の規定により、労働契約は、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとされていること、そして均衡の考慮に当たってはこの指針の趣旨が考慮されるべきであることに留意する必要があるとしています。

勤務地限定正社員、職務限定正社員及び短時間正社員についても同様とされています。

まとめ

施行までに手元で見ておける箇所を並べると、次のようになります。

  • 労働条件通知書に、待遇の相違について説明を求めることができる旨の記載があるか。更新時に渡す書面も含めて確かめる
  • 社員食堂などの福利厚生施設で、雇用形態によって利用料金や割引率に差がないか。差があるなら、何を考慮した差なのか
  • 食事手当の支給が雇用形態で分かれているなら、その根拠を言葉にできるか
  • 新しく項目が置かれた退職手当・無事故手当・家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇・褒賞の扱い
  • 待遇差を説明するときに、資料を使った口頭説明と資料の交付のどちらで対応するか

同一労働同一賃金ガイドラインは、どのような待遇差が不合理と認められるのか等を具体例とともに示すものです。差をつけているかどうかだけでなく、その差が何を考慮したものかを説明できる状態にしておくことが、点検の軸になります。

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