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同一労働同一賃金が2026年10月に改正|労働条件通知書と点検すべき待遇

2026-08-22

同一労働同一賃金が2026年10月に改正|労働条件通知書と点検すべき待遇

2026年10月1日施行の同一労働同一賃金の改正を整理。労働条件通知書に加わる明示事項と、ガイドラインに追加された各種手当・休暇など、点検が必要な待遇を解説します。

2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れるときに書面で伝える事項が増えます。

加わるのは、正社員との待遇の違いについて説明を求めることができる、という案内です。

直すのは一行かもしれません。

ただ、その案内を受けた本人から求めがあれば、事業主には説明する義務があります。

この記事では、何が変わるのかと、答えられる状態にしておくために何を点検すればいいのかを、厚生労働省が公表している資料に沿って整理します。

2026年10月1日、施行規則と告示が改正される

厚生労働省は、パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善を進めるため、「同一労働同一賃金」に関する施行規則と告示を改正しました。

改正後の省令・指針は令和8年4月28日に公布され、同年10月1日から施行・適用されます。

主な改正事項は次のとおりです。

  • 雇い入れ時の労働条件明示事項の追加(省令)
  • 同一労働同一賃金ガイドラインの改正(告示)
  • 雇用管理の改善等に関する措置内容の改正(告示)

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」

労働条件通知書に加わる一行と、10万円以下の過料

まず、労働条件通知書の様式変更が必要です。

パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れた時の労働条件明示事項として、現行の明示事項に加え、新たに「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨の明示が必要となります。

現行の明示事項は、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口です。

厚生労働省が示している労働条件通知書の記載例は、次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる、という文言と、窓口の部署名・担当者職氏名・連絡先を書く形です。

そして、違反した場合は10万円以下の過料に処せられます。

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン等の改正内容について(パートタイム・有期雇用労働法関連)」

対象になるのは、施行日以降に雇い入れる人と、契約を更新する人

ここは読み違えやすいところです。

厚生労働省が公表した質疑応答は、改正省令の施行日以降、新たにパートタイム・有期雇用労働者を雇い入れた時に、雇い入れ時の労働条件明示事項として、パートタイム・有期雇用労働法第14条第2項の規定による説明を求めることができる旨を、書面の交付等により明示する必要があるとしています。

一方、すでに雇っている労働者についても、労働契約を更新するときは明示の対象になります。

厚生労働省は、明示が必要な「雇い入れたとき」には労働契約の更新時も含まれるとしています。更新のたびに渡す書面も、10万円以下の過料が付く明示義務の対象です。

ただし、求めがない場合の対応は指針の側に書かれています。

パートタイム・有期雇用労働者から説明の求めがない場合であっても、労働契約の更新時等に、待遇差の内容・理由に関する分かりやすい資料を交付することや、待遇の相違の内容・理由に関する説明を求めることができることを周知するといった対応を行うことが望ましいとされています。

出典:厚生労働省「改正省令及び告示の周知に係るQ&A」厚生労働省Webマガジン「2026年10月からパートタイム・有期雇用のルールが変わります―3つの改正ポイント」

通知書より重いのは、求められたときに答えられるか

待遇差の説明義務そのものは、パートタイム・有期雇用労働法第14条第2項にすでに定められています。

事業主は、その雇用するパートタイム・有期雇用労働者から求めがあったときは、正社員との間の待遇の相違の内容及び理由と、待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明しなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法第14条第2項)。

今回加わるのは、その求めができることを、会社の側から書面で知らせる義務です。

そのため、求められてから社内規程を読み直すのでは間に合いません。

説明する内容の例として、厚生労働省は、比較対象の正社員との間で待遇の決定基準に違いがあるか、違う場合はどのように違うのか・なぜ違うのか、教育訓練の実施や福利厚生施設の利用に当たり何を考慮したかを挙げています。

点検の範囲は、ガイドラインに書き足された待遇

デスクでノートパソコンの前に座り、グラフの印刷資料を手に取って内容を確かめる管理職の男性

次の改正が、その答え合わせの材料になります。

今回の改正では、裁判例を踏まえ、賞与、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、病気休職・休暇、夏季冬季休暇及び褒賞に関する記載が追加されました。

厚生労働省は、雇用するパートタイム・有期雇用労働者の各種待遇が、ガイドラインに追加された記載に即した内容となっているか点検し、必要に応じ見直しを行うよう求めています。

追加された考え方のうち、社内規程との突き合わせが要りそうなものを挙げます。

  • 無事故手当 正社員と業務の内容が同一のパートタイム・有期雇用労働者には、正社員と同一の無事故手当を支給しなければなりません。
  • 家族手当 労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれるパートタイム・有期雇用労働者には、正社員と同一の家族手当を支給しなければなりません。
  • 住宅手当 住宅手当が「転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの」である場合、正社員と同一の転居を伴う配置の変更があるパートタイム・有期雇用労働者には、正社員と同一の住宅手当を支給しなければなりません。
  • 夏季冬季休暇 パートタイム・有期雇用労働者にも、正社員と同一の夏季冬季休暇を付与しなければなりません。
  • 褒賞 褒賞が「一定の期間勤続した労働者に付与するもの」である場合、正社員と同一の期間勤続したパートタイム・有期雇用労働者には、正社員と同一の褒賞を付与しなければなりません。
  • 病気休職・休暇 正社員に病気休職期間に係る給与の保障を行う場合には、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれるパートタイム・有期雇用労働者にも、正社員と同一の給与の保障を行わなければなりません。

あわせて、待遇差を解消するときの進め方についても記載が加わりました。

正社員とパートタイム・有期雇用労働者との不合理な待遇差を解消する際には、正社員の労働条件を不利益に変更するのではなく、パートタイム・有期雇用労働者の労働条件の改善が求められます。

社員食堂と食事手当は、改正前から書かれている

社員食堂で丸テーブルを囲み、丼型の容器に入った料理を食べながら会話する社員たち

食事にまつわる待遇は、今回追加された項目の一覧には出てきません。

ただし、書かれていないわけではありません。

同一労働同一賃金ガイドラインには、労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者に対する食費の負担補助として支給される食事手当について、短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の食事手当を支給しなければならない、と書かれています。

福利厚生施設についても、もともと定めがあります。

事業主は、正社員に対して利用の機会を与える福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)については、その雇用するパートタイム・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法第12条)。

今回書き足されたのは、その先です。

ガイドラインには、福利厚生施設の利用料金・割引率等の利用条件についても、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない、という記載が加わりました。

社員食堂の利用料や割引率に差をつけているなら、その差の理由を先に整理しておくとよいでしょう。

さらに雇用管理指針には、物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設、駐車場等の施設の利用に関して、パートタイム・有期雇用労働者に対し、便宜の供与の措置を講ずるよう配慮しなければならないとする記載が加わりました。

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン 新旧対照表(解説付き)」

説明のしかたも具体化された

雇用管理指針には、説明の方法についての記載も加わりました。

  • 資料を活用し口頭により説明する方法、または説明すべき事項を全て記載した分かりやすい内容の資料を交付する等の方法のいずれかによって説明する
  • 資料を活用し口頭により説明する場合には、説明に活用した資料等を交付することが望ましい
  • 資料を交付することが困難な場合であっても、事後に求めがあったときは当該資料を閲覧させる等の工夫をするよう努める

つまり、説明に使った資料を残しておけば、次に同じ問いが来たときにも同じ答えを返せます。

まとめ

2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れた時の労働条件明示事項に、待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨が加わります。

先に直すのは労働条件通知書の様式で、違反した場合は10万円以下の過料に処せられます。

そのうえで、ガイドラインに追加された賞与、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、病気休職・休暇、夏季冬季休暇及び褒賞について、自社の制度が記載に即した内容となっているか点検し、必要に応じ見直しを行うよう求められています。

社員食堂などの福利厚生施設については、利用の機会を与えているかどうかに加えて、利用料金・割引率等の利用条件にも、不合理と認められる相違を設けてはならないという記載が加わりました。

説明を求められてから資料を作るより、点検の段階で答えを書き出しておくほうが早いはずです。

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