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2026年10月1日施行|パート・有期の労働条件通知書に追加される明示事項

2026-08-18

2026年10月1日施行|パート・有期の労働条件通知書に追加される明示事項

2026年10月1日から、パート・有期雇用労働者の労働条件明示事項が追加されます。追加される項目、待遇差の説明の方法、点検すべき手当を厚生労働省の資料から整理します。

2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたときに明示する労働条件の項目が増えます。

加わるのは、待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨です。

厚生労働省のリーフレットは、この明示について「違反した者は10万円以下の過料に処されます」としています。

ただし、変わるのは通知書の記載だけではありません。

同じ日に、待遇差をどう説明するかを定めた雇用管理指針と、どのような待遇差が不合理なのかを示した同一労働同一賃金ガイドラインも改正されます。

施行までに何が必要になるのかを、厚生労働省の資料から順に整理します。

2026年10月1日から、労働条件の明示事項が増える

厚生労働省の資料は、パートタイム・有期雇用労働法施行規則の改正として、法第6条第1項による労働条件明示事項に、事業主に法第14条第2項の規定による説明を求めることができる旨を追加すると示しています。

施行・適用期日は令和8年10月1日です。

現行の明示事項は、昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無・相談窓口の4つです。

厚生労働省のパンフレットは、法第6条の対象者を、すべてのパートタイム・有期雇用労働者としています。

同じパンフレットは、違反の場合、行政指導によっても改善がみられなければ、パートタイム・有期雇用労働者1人につき10万円以下の過料の対象になると説明しています(法第31条)。

出典:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法施行規則/雇用管理指針の主な改正事項」厚生労働省リーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります」(令和8年4月作成)

対象になるかどうかは、社内の呼び方では決まらない

パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が、同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者をいいます。

有期雇用労働者とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいいます。

厚生労働省のパンフレットは、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など呼び方は異なっても、この条件に当てはまる労働者であればパートタイム・有期雇用労働法の対象になるとしています。

そして、明示が必要になる場面は、初めて採用したときだけではありません。

パンフレットは、法第6条の「雇い入れたとき」について、初めて雇い入れたときのみならず、労働契約の更新時も含むと説明しています。

すでに働いている人の契約更新に使う書式も、あわせて見ておきたいところです。

出典:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法」パンフレット(令和7年8月版)

説明を求められたとき、何を説明することになるのか

待遇差についての説明義務は、今回の改正で新しく生まれるものではありません。

厚生労働省のリーフレットは、正社員とパート・有期雇用労働者との間で待遇差がある場合、事業主はパートタイム・有期雇用労働者から求めがあれば、待遇差の内容や理由と、法第6条から第13条までの措置を講じるに当たって考慮した事項を説明しなければならないとしています。

今回の改正で加わるのは、その説明を求めることができるということを、雇い入れたときに明示することです。

では、誰と比べて説明するのか。

パンフレットによれば、比較の対象になる通常の労働者は、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲などが、求めがあったパートタイム・有期雇用労働者と最も近いと事業主が判断する通常の労働者です。

説明の内容の例としてパンフレットが挙げているのは、比較対象の通常の労働者との間で待遇の決定基準に違いがあるか、違う場合はどのように違うのか・なぜ違うのか、といったものです。

教育訓練の実施や福利厚生施設の利用に当たって何を考慮したかも、例として挙げられています。

なお、説明を求めたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないことも定められています(法第14条第3項)。

出典:厚生労働省リーフレット厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法」パンフレット

説明のしかたにも、指針が線を引いた

10月1日から適用される雇用管理指針には、説明の方法についての事項が加わります。

待遇の相違の内容等を説明するに当たっては、「資料を活用し、口頭により説明する方法」または「説明すべき事項を全て記載した短時間・有期雇用労働者が容易に理解できる内容の資料を交付する等の方法」によるものとされます。

口頭で説明する場合には、説明に活用した資料等を交付することが望ましいとされています。

交付することが困難な場合であっても、事後に求めがあったときは当該資料を閲覧させる等の工夫をするように努めるものとされます。

さらに、説明の求めがない場合であっても、労働契約の更新の際等に、待遇の相違の内容等について容易に理解できる内容の資料を交付することや、説明を求めることができることを周知すること等が望ましいとされています。

ここで読み分けておきたいのは、求められ方の強さです。

通知書への明示は、過料の定めがある義務です。

一方で、説明の方法は「よるものとする」、資料の交付や周知は「望ましい」と書き分けられています。

出典:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法施行規則/雇用管理指針の主な改正事項」

点検の対象は、手当と休暇にも及ぶ

同じ10月1日から、同一労働同一賃金ガイドラインの改正も適用されます。

リーフレットは、新たに追加された内容として次の項目を挙げています。

  • 賞与(記載の充実)
  • 退職手当(新規追加)
  • 無事故手当(新規追加)
  • 家族手当(新規追加)
  • 住宅手当(新規追加)
  • 福利厚生施設(記載の充実)
  • 病気休職(記載の充実)
  • 夏季冬季休暇(新規追加)
  • 褒賞(新規追加)

このうちいくつかは、支給の考え方まで具体的に示されています。

デスクでノートパソコンの前に座り、グラフが印刷された資料を手に取って確認している男性

住宅手当が「転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの」である場合、正社員と同一の転居を伴う配置の変更があるパートタイム・有期雇用労働者には、正社員と同一の住宅手当を支給しなければなりません。

夏季冬季休暇については、パートタイム・有期雇用労働者にも、正社員と同一の夏季冬季休暇を付与しなければなりません。

家族手当は、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規雇用労働者には、通常の労働者と同一の家族手当を支給するとされています。

賞与と退職手当については、労務の対価の後払いや功労報償等の様々な目的が含まれ、これらの目的が妥当するにもかかわらず職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた内容を支給しない場合、不合理と認められる可能性があるとされています。

待遇差の理由づけについても、記載が加わりました。

待遇の相違の要因として「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があったとしても、当該目的があることのみをもって直ちに当該待遇の相違が不合理ではないと当然に認められるものではない旨が記載されます。

差の埋め方についても、記載の趣旨が明確化されました。

事業主が待遇の相違の解消をしようとする場合、通常の労働者の労働条件を不利益に変更することなく、パートタイム・有期雇用労働者の労働条件の改善を図ることが求められる旨が明確化されます。

出典:厚生労働省リーフレット厚生労働省「主な改正事項」

福利厚生施設については、法律の側にも規定がある

上の一覧には、福利厚生施設(記載の充実)も入っています。

どのように充実したのかは、このリーフレットには書かれていません。

一方で、福利厚生施設についての義務は、現行の法律の側にすでにあります。

事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)については、その雇用するパートタイム・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければなりません(法第12条)。

パンフレットは、この規定の対象者を、法第9条の対象となるパートタイム・有期雇用労働者以外のすべてのパートタイム・有期雇用労働者としています。

オフィスの休憩スペースのテーブルで、弁当や紙コップを前に昼食をとりながら話している3人の社員

求められているのは、設備を増やすことではありません。

パンフレットは、定員の関係で給食施設を事業所の労働者全員が利用できないような場合に、増築などをして結果として全員が利用できるようにすることまで求めるものではないとしています。

そのうえで、通常の労働者と同じ利用規程を適用したり、利用時間に幅を設けたりするなどにより、全てのパートタイム・有期雇用労働者に対して、通常の労働者と同様に利用する権利が与えられることを求めているとしています。

また、10月1日から適用される雇用管理指針には、物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設、駐車場等の施設の利用に関する便宜の供与の措置を講ずるように配慮しなければならないものとする、という事項も加わります。

出典:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法」パンフレット厚生労働省「主な改正事項」

施行までに手を付けられること

ここまでを実務の順に並べ替えると、次のようになります。

  • 雇入れと契約更新に使う労働条件通知書に、説明を求めることができる旨の記載を加える
  • 求められたときに、誰が、どの資料を使って説明するかを決めておく
  • 正社員との間で差がある手当・休暇・福利厚生を書き出す
  • 差がある項目について、その理由を、社内の呼び名に頼らない言葉で書いておく

リーフレットは、改正後のモデル労働条件通知書の掲載先を案内しています。

書式から入るなら、そこを起点にするのが早いでしょう。

まとめ

  • 2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたときの労働条件明示事項に、待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨が加わります
  • 厚生労働省のリーフレットは、この明示について「違反した者は10万円以下の過料に処されます」としています
  • パンフレットは、法第6条の「雇い入れたとき」には労働契約の更新時も含まれると説明しています
  • 説明の方法は、資料を活用した口頭での説明か、説明すべき事項を全て記載した資料を交付する等の方法のいずれかによるものとされます
  • 同一労働同一賃金ガイドラインには、無事故手当・家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇・褒賞などの記載が加わります

先に手を動かせるのは、書式のほうです。

時間がかかるのは、差の理由を言葉にしておくほうです。

求められてから探し始めると、答えるまでに間が空きます。

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