食事補助
福利厚生制度
社長・役員にも食事補助は出せる?所得税と役員給与、2つの判定
2026-09-29

役員や社長を食事補助の対象にできるのか。国税庁の資料は役員も含めて要件を示しています。所得税の2つの要件と、法人税で役員給与になる場合の判定を整理します。
食事補助を入れようとしたとき、総務や経理で最後に引っかかるのが役員の扱いです。
従業員と同じ制度に社長や役員を入れてよいのか。入れた場合、役員給与のルールに触れないのか。
この記事では、受け取る側に課税されるかどうかと、会社側で損金になるかどうかを、順に整理します。
非課税の要件は、役員と使用人に共通の形で書かれている
国税庁タックスアンサー No.2594 は、役員や使用人に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されないとしています。
- 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
- 食事の価額から役員や使用人が負担している金額を差し引いた金額が、1か月当たり7,500円(消費税および地方消費税の額を除きます)以下であること
どちらの要件も「役員や使用人」という同じ書き方で示されており、役員だけに別の金額が置かれてはいません。
要件を満たさないときに課税されるのは、残額
No.2594 は、この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税されるとしています。
同じページの具体例は、1か月当たりの食事の価額が13,000円で、役員や使用人の負担している金額が6,000円の場合を挙げています。
この場合は半分以上を負担しているという要件を満たさないため、差額の7,000円が給与として課税されます。
つまり、課税されるのは食事の価額そのものではなく、会社が負担している残額のほうです。
現金で食事代を補助する場合の扱い
No.2594 は、食事を支給するのではなく現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり650円(消費税および地方消費税の額を除きます)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されるとしています。
なお、残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。
出典:国税庁タックスアンサー No.2594「食事を支給したとき」
役員に支給する給与には、金銭のほか経済的な利益も含まれる
ここまでは、受け取る側に課税されるかどうかの話です。
国税庁タックスアンサー No.5202 は、法人が役員および特殊関係使用人に支給する給与には、金銭によるもののほか、債務の免除による利益その他の経済的な利益も含まれるとしています。
この経済的な利益とは、法人の行為によって実質的にその役員等に対して給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらすものをいうと、同じページは説明しています。
所得税で課税されず、給与として経理もしていないなら、給与として取り扱わない
法人税基本通達 9-2-10 は、法人が役員等に対し 9-2-9 に掲げる経済的な利益の供与をした場合において、それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ、当該法人がその役員等に対する給与として経理しなかったものであるときは、給与として取り扱わないものとするとしています。
国税庁タックスアンサー No.5202 にも、それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ、その法人がその役員等に対する給与として経理しなかったものであるときは、給与として扱われない、というただし書きが置かれています。
条件が2つ並んでいる点は、読み落としやすいところです。所得税法上課税されないことと、給与として経理しなかったことの、両方が要ります。
したがって、食事補助が所得税法上課税されず、かつ給与として経理されていない場合には、次に説明する定期同額給与の判定以前に、そもそも役員給与として取り扱われないことになります。
給与として扱われる経済的利益については、定期同額給与の判定が必要になる
一方、役員に供与した経済的利益が給与として扱われる場合には、役員給与の損金算入ルールが問題になります。
国税庁タックスアンサー No.5202 は、役員に対して継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは定期同額給与に該当し、損金の額に算入されるが、その他のものは定期同額給与に該当せず、損金の額に算入されないとしています。
法人税基本通達 9-2-11 は、この「継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの」とは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるものをいうとしています。
つまり、所得税法上課税されず、かつ給与として経理していないため役員給与として取り扱われないケースと、役員給与として扱われる経済的利益について定期同額給与に該当するかを判定するケースは、分けて考える必要があります。
使用人兼務役員については、注書きが置かれている
No.5202 の注書きは、法人が使用人兼務役員に対して供与した経済的な利益の額(住宅等の貸与をした場合の経済的な利益を除きます)が他の使用人に対して供与される程度のものである場合には、その経済的な利益の額は使用人としての職務に係るものとされ、損金の額に算入されるとしています。
一方で同じページは、役員に対する経済的利益の額が不相当に高額である場合や、法人が事実を隠蔽しまたは仮装して経理することにより役員に対して供与した経済的な利益の額は、損金の額に算入されないとしています。
出典:国税庁タックスアンサー No.5202「役員等に対する経済的利益」/法人税基本通達 第2款「経済的な利益の供与」
制度を決める前に、社内で確かめておきたいこと
- 役員を制度の対象に入れるかどうかを、先に決めているか
- 役員本人が食事の価額の半分以上を負担する形になっているか
- 会社の負担額を、税抜で集計できる仕組みがあるか
- 役員分について、所得税法上の非課税要件を満たしているか
- 役員分を給与として経理していないか、経理処理の側も確かめたか
- 使用人兼務役員がいる場合、他の使用人と同じ程度の内容になっているか
個別の制度設計がどちらに当たるかは、顧問税理士や所轄の税務署に確認してください。
まとめ
- 国税庁タックスアンサー No.2594 は、役員や使用人に支給する食事について、2つの要件をどちらも満たしていれば給与として課税されないとしています
- 要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税されます
- 法人税基本通達 9-2-10 は、所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ給与として経理しなかったものであるときは、給与として取り扱わないものとするとしています
- 役員給与として扱われる継続的な経済的利益については、毎月おおむね一定であるものは定期同額給与に該当すると、国税庁タックスアンサー No.5202 は示しています
どこでも社食について
この記事を書いているのは、法人向けの食事補助サービス「どこでも社食」です。
どこでも社食は、株式会社シンシアージュが提供する法人向けの食事補助サービスで、社内に社員食堂を持たない企業でも、従業員が食事補助を利用できます。
特定の提携飲食店との個別契約を前提としない方式をとっています。
ただし、利用できない店舗・業態が実在し、すべての店舗で使えるわけではありません。
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