食事補助
福利厚生制度
食事補助は社会保険料に影響する?現物給与価額の3分の2ルール
2026-09-10

食事を現物で支給すると、所得税とは別に社会保険の判定が要ります。本人負担が現物給与価額の3分の2以上なら供与なしと扱う仕組みと、令和8年4月の価額改正を整理します。
食事補助の金額を決めるとき、多くの担当者がまず調べるのは税金の扱いです。
ただ、確かめる場所はもう一つあります。社会保険です。
厚生年金保険および健康保険の被保険者が、勤務する事業所より労働の対償として現物で支給されるものがある場合は、その現物を通貨に換算し報酬に合算のうえ、保険料額算定の基礎となる標準報酬月額を求めることになります。
従業員に食事そのものを出す制度は、ここに関わってきます。
現物で支給した食事は、社会保険では報酬に含まれる
標準報酬月額の対象となる報酬とは、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計に充てられるすべてのものを含みます。
金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など現物で支給されるものも報酬に含まれます。
ただし、臨時に受けるものや、年3回以下支給の賞与(標準賞与額の対象となります)などは報酬に含みません。
食事や住宅で支給する場合、通貨への換算に使うのは「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(厚生労働省告示)に定められた額です。
自社製品等その他のもので支給される場合は、原則として時価に換算します。
出典:日本年金機構「全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)」/日本年金機構「標準報酬月額の対象となる報酬とは何ですか。」
換算に使うのは、都道府県ごとに定められた価額
令和8年4月からの一覧表では、東京都の1人1月当たりの食事の額は25,500円です。
同じ東京都の欄では、1人1日当たり850円、朝食のみ210円、昼食のみ300円、夕食のみ340円と分かれています。
価額は都道府県ごとに違います。1人1月当たりの食事の額は、最も低い県で23,700円、最も高い沖縄県で26,400円です。
どの都道府県の価額を使うかは、被保険者の人事、労務および給与の管理がなされている事業所が所在する地域により決まります。
本社と支店等が合わせて1つの適用事業所となっている場合は、本社・支店等それぞれが所在する地域の価額により計算します。
派遣労働者の場合については、実際の勤務地(派遣先の事業所)ではなく、派遣元の事業所が所在する都道府県の価額で計算します。
計算の結果、端数が生じた場合は1円未満を切り捨てます。健康保険組合では、現物給与の価額について、規約により別段の定めをしている場合があります。
出典:日本年金機構「令和8年4月~ 全国現物給与価額一覧表」(PDF)
本人負担が3分の2以上なら、食事の供与はないものとして扱われる
食事代を給与から徴収している場合の扱いは、徴収した額と現物給与価額の3分の2を比べて決まります。
徴収(負担)額が現物給与価額の3分の2以上であれば、現物による食事の供与はないものとして取り扱います。
3分の2未満であれば、現物給与の価額から徴収(負担)額を引いた価額が現物給与価額となります。
資料は、東京に所在する事業所の例を挙げています。1カ月当たりの現物給与価額が25,500円のとき、その3分の2の価額は17,000円です。
- 1カ月当たりの徴収(負担)額が10,000円の場合、現物給与価額は差額の15,500円になります
- 1カ月当たりの徴収(負担)額が17,000円の場合、現物給与価額は0円になります
出典:日本年金機構「令和8年4月~ 全国現物給与価額一覧表」(PDF)Q10
2つの基準は、どこが違うのか
所得税では、役員や使用人に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。
- 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
- (食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)が1か月当たり7,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること
この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税されます。
ここでいう「食事の価額」は、弁当などを購入して支給している場合には、業者に支払う購入金額です。
一方、社会保険の判定で使う現物給与の価額は、厚生労働省告示で都道府県ごとに定められた額です。
ここまでの2つを並べると、同じ「本人負担」でも、割合も、比べる相手の金額も違うことが分かります。
金額を決めるときは、税務上の要件と社会保険の判定を、それぞれ確かめておくとよいでしょう。
なお、残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。
食事を支給するのではなく、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり650円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。
出典:国税庁タックスアンサー No.2594「食事を支給したとき」
令和8年4月、食事の現物給与の価額が改正された
厚生労働省告示により現物給与の価額が改正され、食事による現物給与の価額は令和8年4月1日から、住宅による現物給与の価額は令和8年10月1日より適用されることとなりました。
すべての都道府県において、食事の現物給与価額が変更になっています。
もう一点、この改正には続きがあります。
現物給与価額の改正は、「固定的賃金の変動」に該当します。
そのため、被保険者報酬月額変更届が必要になる場合があります。
資料は、4月の給与の締め日が月の途中であっても、現物給与は給与の締めにかかわらず4月1日から4月30日の1カ月分として計算し、その月の給与(金銭)と合算するとしています。
出典:日本年金機構「令和8年4月~ 全国現物給与価額一覧表」(PDF)Q2・Q3・Q4
金額を決める前に確かめておきたいこと
- 従業員へ食事そのものを出しているのか、金銭で渡しているのか
- 食事代をいくら徴収しているのか。その額は月あたりでいくらになるのか
- 事業所が所在する都道府県の欄の価額はいくらか。拠点ごとに違わないか
- 加入先が健康保険組合の場合、規約に別段の定めが置かれていないか
- 価額の改正を受けて、届出が必要になるかどうかを確認したか
どれも、補助額を決める前に手元で確かめられることです。
まとめ
食事を現物で支給すると、その現物を通貨に換算し、報酬に合算したうえで標準報酬月額を求めることになります。
徴収(負担)額が現物給与価額の3分の2以上であれば、現物による食事の供与はないものとして取り扱います。
補助額を決めるときは、税務の要件と社会保険の判定を、両方並べて確かめておくと、あとから慌てずに済みます。
どこでも社食について
どこでも社食は、株式会社シンシアージュが提供する法人向けの食事補助サービスです。社内に社員食堂を持たない企業でも、従業員が食事補助を利用できます。
利用できない店舗・業態が実在します。すべての店舗で使えるわけではありません。
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